PubMed検索のコツ・裏技


PubMedで網羅的に文献をさがすためには

PubMed検索に略語をつかうときは

臨床試験論文をすばやく絞り込めるClinical Queries

MeSHのないテーマ(語句)について検索したい場合







 PubMedで網羅的に文献をさがすためには

「治療」や「診断」などに関する文献を網羅的に探したい場合、単に「Therapy」と検索語を追加しても、思うように文献がヒットしないことがあります。また、疾患のMeSHのSubsetを利用する方法もありますが、ごく最新の文献が漏れたり、該当MeSHが存在しなかったり、検索に漏れが生じることがあります。
 その際には、考えうる様々な検索語を使って検索式を立てなければなりませんが、以下のサイトを参考・または検索式をそのままコピー&ペーストすると便利です。
Finding Evidence in PubMed(イエール大学サイト内)

 エビデンスとなる文献を探すための簡単手順や、治療・診断・病因・予後などの網羅的検索に活用できる検索式が紹介されています。
 検索フィールドの指定タグ(PTやMeSHなど)や、アスタリスク(*)も付いた状態で載っているので、それらごとコピーしてください。
 また、ページの最下部にはBest term入力済みのPubMed検索画面へのリンクがあります。


 PubMed検索に略語をつかうときは

 PubMedではよく検索される疾患名や物質名はだいたいMeSHSubstanceNameといった索引語がつけられています。
 これらは普通適当に入力しても適切な索引語を当てはめて同時に検索してくれるのですが、アルファベットの略語だと一般的なテーマでもMeSHにあてはめられないことがあります。
 (MeSHに変換される語というのは、PubMedデータ作成者によってEntry termとして登録されている語です。略語はEntry termとして登録されていないことがあるので、その際はMeSHを導き出すことが出来ません)
 検索結果がおかしいと思ったら、MeSHを確認してみてください。使われているMeSHが適切でなかったら、略されてない名称を使ってみてください。


臨床試験論文をすばやく絞り込めるClinical Queries

PubMedの「Clinical Queries」は、手早く文献を絞り込むのに便利な機能です。

PubMedのLimitsだけでは「診断」「予後」といった絞込みをすることはできませんし、そうした検索語のMeSHだけで絞込むと、PubMedデータ作成側と検索側の意識の違いから検索漏れが生じることがあります。
Clinical Queriesには治療・診断・予後・病因・臨床予測指針の5つのフィルターが設定されており、それぞれの検索に最も適していると思われるフレーズ・MeSH・Publication Type等を設定した検索式を勝手に付与してくれます。

設定されている各フィルターを使って検索した場合、どれほど漏れがなく、どれほどノイズが少なく検索できるのかをパーセントで公開しています。
※Clinical Queries 「Filter Table」にて掲載。こちらは解説付。

感度(Sensitive)が高いと漏れが少なく、特異度(Specific)が高いとノイズが少ない検索となります。
治療に関する検索の場合は、狭め(narrow, specific search)の検索でも感度93%、特異度97%なので、かなり精度が高い検索が可能です。
診断・予後・病因・臨床予測指針に関する検索は、狭めに設定すると感度が50~60%代になってしまい、ノイズは少ないですが 検索漏れが多くなります。
漏れの少ない検索を望む方は、広め(sensitive/broad)の検索を行ってください。(広めにすると90%以上です)

使い方

 Clinical Queriesの検索バーに直接フレーズを打ち込んでも検索できますが、 MeSHデータベースを使ったりして作成した検索式を、コピーして張り付けることも出来ます。
 まず調べたいテーマ(疾患名など)をMeSHデータベースで検索し、該当MeSHやSubheadingsを選択し、表示された検索式(MeSHやSubheadingsのタグも一緒に)をコピーして、Clinical Queriesの検索バーにペーストします。 そうすれば、よりテーマに即した検索が出来ます。Clinical Queriesでの検索結果は通常のPubMed検索結果と同様に表示されますので、そこからLimitsで言語や対象年齢を絞り込むことも可能です。
 ただし、ここで検索できるのは臨床研究に限ってのみの検索となります。網羅的な検索をしたい方は、もっと多様なMeSHやフレーズで検索する必要があります。

 また、メタ・アナリシスやシステマティック・レビュー、診療ガイドライン、その他レビューをお探しの方は、Find Systematic Reviews を,
遺伝医学関連文献をお探しの方はMedical Genetics Searches ご利用ください。


MeSHのないテーマ(語句)について検索したい場合

 最近になって出てきた新しい概念や用語は、MeSHデータベースで検索しても該当MeSHが存在しない場合があります。 そうした際には、以下の方法をお試しください。

・そのテーマに関する文献のMeSHを確認する。

 調べたい事柄について書かれている文献が手元にあれば、まずそれを検索し、PubMedに表示させます。(「Single Citation Matcher」を使うと簡単です)
 フィーチャーズバーの下の「Display」を、プルダウンして「Citation」に変更します。(普段は「AbstractPlus」で表示されています)
 その文献に付与されたMeSHが表示されます。(*)が付いているものはその文献のメインテーマとして設定されているMeSHです。
 そのMeSHの中に、自分が検索したいテーマに近い概念の語句があれば、それを検索語として利用します。
 もっと別のMeSHがないか調べたい時は、「Related Links」に表示された論文のMeSHも確認したり、近い意味を持つMeSHの上位語や下位語を確認したりします。

・検索したい語が熟語の場合

 PubMedで登録されている熟語であれば、自動的に熟語として検索してくれますが、そうでないばあい、スペースの前と後の語句をばらばらの語句として検索してしまいます。例えば「Morita therapy(森田療法)」と検索すると、森田という人が書いた治療に関する論文も検索されてしまいます。
 これを防ぐには「"Morita therapy"」と検索すると、「""」の中を熟語として検索してくれます。
 ただし、「""」を使うと自動マッピング機能が働かないため、MeSHは検索されなくなります。該当MeSHが存在する熟語にはおすすめしません。


・検索したい語の語尾が曖昧

 英語のつづりは、単数形と複数形、形容詞と名詞といった違いによって語尾が変化してしまいます。考えうる変化形を全てORで検索するのも大変なので、ワイルドカード検索「*」または「Preview/ Index」を使います。

  ワイルドカード検索(トランスケーションともいいます)
「librar*」と検索すると、「librarians」「librarianship」も一度に検索されます。ただし、「””」と同様自動マッピング機能が働きません
 また、スペースが入ると検索されませんので「Library Services」は検索されません。

  「Preview/Index」
 「Limit」のとなりにある「Preview/Index」をクリックします。入力して「Index」をクリックすると、入力した語の語尾変化ごとの文献件数が表示されます。


・熟語検索等をして、テーマに少ししか関連のない文献を省きたい場合

 フィールドを指定せずに検索すると、タイトル・抄録・著者・雑誌名など様々な分野を横断検索します。
 抄録の中でちょっと触れているだけの論文を省きたければ、フィールドをタイトルだけに絞り込むことも出来ます。
 検索したい語句に、[ti]のタグをつけてください。






inserted by FC2 system